野生生活

先週,大きな交渉事が終わったわけではないにせよ,一息ついたので,週末は比較的ゆっくりできた。フランスの優先教育に関する本や,ホメロスなどを読んで過ごす。
庭の桜の木に沢山の実がなっているので,暇があれば庭に出てサクランボの美を鷲掴みで食べる。ホメロスを読んでいるせいか,ふと古人の生活を思う。高さ3メートルの桜の樹にたわわになった実をすべて食べたところで,カロリー,満腹感ともにたかが知れている。<腹一杯>と感じるには,もしかすると,この程度の樹一本の果実を全部食べても無理かもしれない。しかも,風雨や,鳥,虫のせいで樹になった実をすべて人間が食べるのは無理だろう。
ホメロスの世界のように,ことあるごとに,牛,豚,山羊,羊を屠って,酒をたらふく飲むなどといった生活は,所詮,極めて限られた人々にしかできなかったに違いない。
サクランボの甘酸っぱさに舌鼓を打ちつつ,現代の凡庸なサラリーマン生活の有り難みもすこしだけ噛み締めた...