久しぶりのヴィクトル・エリセ

仕事を早めに切り上げさせてもらって『ポルトガル,ここに誕生す』を見てきた。
アキ.カウリスマキペドロ・コスタヴィクトル・エリセマノエル・ド・オリヴェイラというそうそうたる4人の短編を集めたオムニバス形式の映画。ポルトガルの歴史をあまり知らない私にはよく理解できない所もあったのだけれど,楽しい1時間30分でした。
ヴィクトル・エリセの映画を久しぶりに見ましたが,相変わらず本当に美しかった。19世紀半ばに創業し,最近閉鎖された縫製工場で働いていた労働者数名が,カメラを前に工場で働いていた頃のことを語るという設定なので,作品では中年,老年の男女しか出てこないのだけれど,それでもスクリーンに映し出されるイメージの美しさに息を呑んでしまいます。照明の妙なのか,演出が周到なのか,ポスト・プロダクションで画像をいじっているのか... 本当に不思議というか,すごい映像作家です。
ちなみに観客数はウィーク・デーの終映ということもあり,私を含めて3人でした。赤字になるのは分かりきっているのに,プログラムに組んでくれた映画館にも感謝です。
上映後,付き合ってくれた知人と秋刀魚の塩焼きをつついた後,夜の街を歩いていると,至る所で仮装した若者に遭遇。ポルトガル,秋刀魚,ハロウィーン,いったいここはどこなのか,軽い目眩に襲われました。