ピアフ,あるいは<今>という奇跡...

2月8日のレッスン...
とある方のリクエストにお応えして,ピアフの「バラ色の人生」を聞く...
今更ながらではあるけれど,つくづく,しみじみ彼女の偉大さに圧倒される。
若い頃はピアフのどこがいいのか分からなかったっけれど...
<恋愛>には昨日がない。明日がない。<恋愛>は現在形でしかなりたたない。年を取ると,それがよく分かる。
だって... 愛しあう恋人同士がいたとして...
わが腕の中で... 快楽に酔いしれ,愛に打ち震える恋人が... 大抵の場合,ちょっと昔は他の人の腕の中で同様な姿態で,同様な快楽を感じ,同様な溜息を漏らし,同様な言葉を発していたことになり...(でも,それが人生なんでしょうが...)。
ということは,もしかすると,いや恐らく,これから先は,また違う誰かの腕の中で同様な姿態で,同様な快楽を感じ,同様な溜息を漏らし,同様な言葉を発することになる。
そう考えると,恋愛が成立するには,互いが<今>,二人が同じ時間と,場所と,気持ちと快楽を共有できる<今>を信じることによってしか成り立たない。
恋愛はこの頼りない<今>を支えにするしかない。
恋愛に<過去>はないし,未来があるとすれば<今>が続くことでしか成立しえない。
そう思うと,今お互いにこの場で互いに相手を完全に信頼しあい,愛を語り,快楽を貪りあう<今>が限りなく神々しく見えた来たりする。
そんな<今>をドラマチックに歌い,<奇跡>にまで昇華できる歌手はおそらくピアフしかいないと思います...

で,Youtubeでピアフのクリップを探していたら...
オードリー・ヘップバーンハンフリー・ボガードの恐ろしくかっこいいクリップがあったので,ご堪能下さい...
「もし,僕が10歳若いとして,もしも僕が君に...どうも僕はナンセンスなことを言ってるみたいだね...」
「そう思うわ...」
「もう一度,その歌を歌ったらどうだい... ゆっくりと」
(『愛しのサブリナ』)
もしも,僕が10際若かったなら... トホホ...
でもって... 「バラ色の人生」でフランス語のお勉強をしたい方は,こちらのサイトをご利用下さい(因みにこれが本エントリーの本題です!)