フランスの「おちこぼれ」について考える

Bertrand RAVON, L'«Échec scolaire » : histoire d'un problème publicを読む。
フランス語を日本語に訳せば,『「おちこぼれ」:公衆の問題の歴史』とでもなるのだろうか...
国が学校の運営をなかば独占化し(公教育の制度化),義務教育が行われるようになって「落ちこぼれ」が発生した。この本は,「落ちこぼれ」がフランスでは誰が,どのように<問題>としてきたか,その流れを公教育が本格的に始まった19世紀末から,優先教育が行われるようになった1980年初頭までの期間にわたってたどっている。
「落ちこぼれ」が学校制度によって作られたものであることはよく分かったし,誰がこの問題に関与したかも分かった。おかげで今まで聞いたことのない心理学者,社会学者の名前を知ったし,名前しか聞いたことがなかった人の経歴も分かった...
 ただ,お役所や大学でどう「落ちこぼれ」が扱われてきたかに議論が集中して(まあ,それがこの本の狙いのだけれど...),話しの内容がひどく<内向き>なのが,読んでいて辛かった。統計資料やがほとんどないので,この期間にフランスの社会や,社会で果たす教育の役割がどうかわったかということが分からない。
 まあ,私の力不足ということなのでしょう。