小林泰三「酔歩する男」

先々週の土曜以来,昨日ははじめて体温が37度を超えることなく1日を終えることができた。
1日中熱にうなされている訳ではなくて,ちょっと無理すると熱が出てしまう... そんな感じ,あと鼻水と咳が酷かった。咳はまだ収まっていないのだけれど。都合11日も熱を出していたことになる!
で,この間何をしていたかと,休むこともママならず,とはいえ頭は動かずで,文字通りボ〜〜っと過ごしてました。
そんな状態で読んだ作品の一つが小林泰三の「酔歩する男」でした。
若かりし頃に同じ女性を愛した二人の男が,死んだその女性と再び出会うために,時間感覚を統御する脳の一部を破壊してしまうお話。
二人の男の間で繰り広げられる物理論議派フォローできなかたったけれど,時間と記憶の感覚がなくなった時に,自分が自分である根拠が何かを問うたようなコントである。
生硬でいかにも「僕お勉強中です」という文体が物語の展開とともにこなれたものに変わっていくのも中々興味深かった。
何日間も熱にうなされて,まさしく時間の感覚が麻痺したような感じる時に読むにはうってつけの作品だった。他の作品も読んでしまいそう。