詩人・友人・大学人...

敬愛する先生が声をかけてくれたので,鹿児島大学で行われた吉増剛造の講演会に行ってきた。
実は,数年前から,折りにふれて彼の詩を読んでいる。私のようなオヤジがいうのもおかしいが,かっこいい詩だ。繊細なレトリックと炎のような攻撃性を併せ持った世界。吉増剛造の詩を読んでいると,元気が沸いてくる。フシギな感覚。
彼の話を聞くのも不思議な体験だった。奄美奄美に向かうフェリー,そしてカルナックでのフシギな映像。
ちょっと甲高い声,女性的な身振り,そして世界に,他者の声に見開かれた眼。美しい眼。

講演会で何を受け取ったか。それはいくつかの<謎>,<問いかけ>である。これから私たちが色んな所を旅し,色んな人達とふれ合い,色んな本,映画,音楽に触れるとき,時たま思い出しては,また忘れてしまうようなちょっとした<問い>。
でも,そんなことこそ,人と人が出会った時に,本当に伝達するに値するものではないのか。
情報のマクドナルと屋さんになってしまった私にとっては本当に考えさせられるひと時だった。
講演の後は,吉増剛造氏ご本人を囲んで,その場で懇親会。決して美味くはない寿司とオードブルを囲んで,しばしご本人,勤務先の同僚,鹿児島大学の先生方と歓談。
残念だが,勤務先では色んなことがあって,こういう語らいの場が本当に少なくなっている。大学でありながら,ほとんど同僚と仕事(いわゆる雑用)以外のことを話すことはない。
それに比べると,ここ鹿児島大学には,まだ古き良き大学らしさが残っているようだ。