校区を考える


『La Carte scolaire=校区』(Agnès van ZANTEN, Jean-Pierre OBIN, アニエス・ヴァン=ザンテン,ジャン=ピエール・オバン)を読む。
フランスにおける校区の歴史,問題点,校区政策の国際比較をコンパクトにまとめた,とてもいい本だと思う。
私にとっては,校区の歴史,国際比較が興味深かった。特に,サルコジ以前にフランスで現在行われていた校区政策つまり,公立学校では様々な例外措置が設けてあり,私立学校に関してはまったく校区上の規制がない校区システムは,学校間格差,地域格差の問題を深刻させる傾向が強いことを学んだのは貴重だった。多くのフランス人,特に教員は,この本で述べられていることととはまったく逆のことを信じている傾向が強いからである。つまり,サルコジ以前の校区制度はフランスの民主的な教育制度に貢献する所が大と思っているからだ。
今日のフランスの,学校間格差,地域化格差を考える上では出発点となる本だと思われる。