おもてなしの国日本

夏休みということもあって,九州新幹線<つばめ>を利用することが何回かあった...
若い頃,生活費を稼ぐためにパリ⇆ボルドー間のTGVを通勤に使っていたせいか,どうしても<つばめ>をTGVと比較してしまう。
技術的にはおそらく,つばめの方が圧倒的によく出来ている(揺れないもん!)と思うのだが,旅行者への心配りという点では,やはり異国と陸続きのフランスで生まれたTGVのほうが一歩先をいっている。
1)まず<つばめ>にはちょっと大きめの荷物さえ置くスペースがない。
→恐らく,通勤客や出張のビジネスマンを念頭に車両が作られているのだ,と思いたいのだが...
2)座席に据え付けてある,机は貧弱。あれでは書類を並べたり,パソコンを引っ張りだして仕事などできない。
3)それに座席の乗り心地は,TGVの方がかなりよい。あれだけ車体が揺れないのに,どうして椅子にもうひと工夫できないものか?
結論として... <つばめ>を設計・制作したエンジニアの皆さんは,旅行客はどんな人たちで,どんな車中では行動をするのか,真剣に考えずに車両をデザインしたとしか思えない。

いきなり,話題がずれてしまったが,車中で一番印象に残ったのは,車内アナウンスだ。日本語,英語,韓国語,中国語が流れる。
韓国語,中国語が流れるたびに,アナウンスを真似して,おもしろがっている人がいた。大抵は,若いオジイちゃん,オバアちゃん世代だ(団塊の世代より上)。やはり,この世代の人たちは,アジアでは日本が一番という気持ちが残っているのかしら(そのくせ,欧米の連中にはぺこぺこするくせに!)。
とはいえ,中国語,韓国語でアナウンスがあるのは偉いと思う。中国や韓国の人も,日本で公共の場でお国の言葉を耳にしたり,目にすると(トイレとか),きっと嬉しいんじゃないかな。フランスでは,メジャーな観光地やホテルでは日本語説明があっても,公共の交通機関で日本語に触れることはまずないもの。
そもそも,フランスでは,あれだけアラブ系の移民が多いのに,公共の空間やメディアでその方面の言葉を耳にするということはまずない。そこには,アラブ系の言葉もいろいろあって,どの言葉を選ぶかはデリケートかつ面倒なだから,アラブ人はみんな一応はフランス語を習っているはずだから,フランス語で事足りるはずだ,というかつての宗主国の傲慢なロジックが働いているのだと思う。その点でフランスのアラブ嫌いは徹底している。