はじめてのキスの味...

ポッドキャストしたラジオの歴史番組(!)『歴史工場』で,ソフィー・マルソー主演『ラ・ブーム』を取り上げていたのでしばし聞き入る。この映画が公開されて,もう30年になるのだ。
番組の中ではソフィー・マルソーのインタビューも紹介されている。その中で面白いと思った話をいくつか紹介すると...
撮影当時,つまり彼女が中学生の頃,彼女はすでにお金を稼ぐ必要があったとのこと。いわば,彼女は<青春時代>を経験せずに,女の子からすぐに女にならざるを得なかった,今日日かなり珍しいキャリアの持ち主なのだそうだ。だから彼女は,映画で描かれているようなパリのインテリにしてブルジョワ家庭の青少年期をまったく知らないそうだ。「映画に出演していた子供たちの中で,映画が描いている世界からもっとも遠いところにいたのがわたしなの」。
とはいえ,この映画なしにはソフィー・マルソーのキャリアがなかったのも事実。今でも世界中から『ラ・ブーム』を見た青少年からのファンレターが届き,それが彼女を喜ばせるそうだ。そしてその手紙にはきちんと返事を書いているとの事。「もちろん,手紙の内容に立ち入った返事は書かないけれど,ファンからの手紙が自分の手元に届いたという事を知らせるため,サインのようなささやかなものを送るようにはしているの。」
映画公開当時,ヨーロッパ中の青少年(そして日本やアメリカの多くの中高生も)がこの映画に夢中になった。しかし,この映画で描かれている社会階層はパリのインテリ・ブルジョワ家庭で,誰もがそう簡単にヒロインに自分を重ねられるものではない(しかも,撮影に使われたのは,あのアンリ4世高校!)。この指摘に対してソフィー・マルソー曰く。「その通り。でも,この映画はもっと広いテーマを描いているの。だって,共産党を指示するパリ郊外でも,〔富裕層・ブルジョワがひしめく〕パリの16区でも,初キッスの味は同じでしょ!」これぞ青春!