なぜマクドナルドのCMは凄いのか

先日『世界のCMフェスティバル』で手に入れたDVDを漫然と見てあらためて思ったことがある。CMってワンパターンだなと。
つまり,誇大広告というか,同じ方向でのウソばかりなのだ。
このチーズは栄養がありますよ,この香水はいい臭いですよ(だから女性に持てますよ),この車はカッコいいですよ,安全ですよ,早いですよ,このチョコレートは美味しいですよ(そんじょそこらの男より),この洗剤はよく落ちますよ... などなど...
しかし,数年前に同じDVDで見たマクドナルドのCMの多くは,マクドナルドが美味しいなどといったメッセージは発していない。マクドナルドは美味いというメッセージを発しているのは大抵,まだマクドナルドが根付いていない国だ。
ほとんどの国では「これはマクドナルドなり」という同語反復だけで,CMになりうるのだ(誰もが適当に不味いことを知っているから,恐らく)。だからメッセージにさして囚われることなくいろいろなCMが作れる。同じく食品を扱う国際的な大企業でもコカ・コーラペプシ・コーラはこうはいかない。互にライヴァルを意識してか,「こっちの方が美味い」というメッセージの呪縛から逃れられないのだ。
もっとも,誇大広告の呪縛から逃れるまでには,何万回も虚偽に近い広告を打つ必要があったのかも知れないけれど...