2014世界卓球東京の水谷/オフチャロフ戦

2014世界卓球団体男子の準決勝,水谷・オフチャロフ戦を観戦しました。
主な試合はすべてこちらから観戦できます。http://www.ittf.com/ittv/
しかもありがたいことに,テレビ東京の実況もどき(30分遅れて放送しているくせに,あたかも実況のような演出... マスゴミと呼ばれても仕方ないと思います)とはちがって,アナウンサーが鬱陶しくないのがありがたいです。
この試合,今大会1番の名勝負の1つだったのではないでしょうか。
ITTFも5月4日のベスト・ショットを二人の試合から選んでいます。http://ittf.com/media/newsletter/newsletter_04MAY/pg5.html
ほぼ同世代で,切磋琢磨してきた二人の試合は,独特の緊張感があって見ていて本当に楽しいです。それにオフチャロフ,試合態度も紳士的です。これはボルという,素晴らしい先輩の影響でしょうか...
派手さはありませんが,こオフチャロフ選手はここ数年でいちばん成長した選手の一人に違いありません。オフチャロフ,水谷両選手を単純に色分けすると前者が剛で,後者が柔ということになると思います。
以前は,柔が剛を制してきましたが,最近,特に2012年のドルトムント団体準決勝でオフチャロフが水谷を3-0で下して以来,二人の力関係は完全に逆転したような気がします(この試合の第1セット後半だったと思うのですが,水谷選手のフォアをノータッチで打ち抜いた,オフチャロフ選手の強力なバックハンドは印象的でした)。
ここ数年のオフチャロフ選手の進化には目をみはる物があります。背が高いし,体格が好いのでラリーはもともと強かったのですが,それ以外の面でも進歩が目覚ましく,本当にスキのない,負けにくい選手になった感があります。サーブも多彩になりました。特にフォアハンドサーブはカモフラージュが大変上手くなりました。レシーブも攻撃的になりました。フットワークもよくなりましたし,フォアハンドも打ち負けなくなりました。ベラルーシのサムソノフ選手の全盛期にに,攻撃的なサーブ,レシーブを身につけた選手,それが今のオフチャロフ選手でしょうか。
さすがの水谷選手もこの試合では120%の力を出して,戦術も工夫して(試合中盤にはコートの真ん中からYGサーブを出していました。必死さが伝わってきました),なんとか勝ちを拾ったという感じです。ラリー戦ではややオフチャロフ選手に分があったようですが,その分,細かいミスがオフチャロフ選手に多かった。この点が勝負を分けた気がします。勝った瞬間に水谷選手は床に倒れて喜びを表していましたが,それほど必死で向かって行かないと今のオフチャロフ選手に勝つのは難しいということなのでしょう。
しかし,内容では押され気味だったとはいえ,そのオフチャロフ選手から勝ってしまうのですから,やっぱり水谷選手も恐ろしい。この東京大会を見て,ここロンドン以来の不振,試行錯誤を経て,水谷選手もまた大きく成長している感じがしました。こういう素晴らしい試合を見せてもらって,卓球ファンとしてはただただ感謝です。