ありがとう水谷隼選手!

クアラルンプールでの世界卓球選手権が終わった。
相変わらず,報道は女子ばかりだが,男子選手の試合は堪能した。面白さの点からすればベストゲームはやはり準々決勝のイングランドvsフランスだろう。この試合について全く触れようともしないのだから,日本のスポーツジャーナリズムの鈍感さは絶望的だ。
また,試合のシナリオという点からは準決勝の吉村対ピッチフォード戦,とりわけ水谷対ピッチフォード戦も大変面白かった。
技術的には決勝の水谷隼対許繒(きょ きん、シュー・シン)戦をあげたい。水谷選手の0-3(-6, -8, -8)なので許繒選手の圧勝という観は否めない。10ゲームやっても1ゲーム取ることができるだろうか?第2ゲーム,第3ゲームは中盤まで一進一退だった。
国内では圧倒的な強さを誇る水谷だが,それでも許繒は水谷の弱点を徹底して突いていた。徹底してバックを攻撃していた。水谷選手のバックハンドで攻撃されても,十分に対応できるという読みだったのだろう。事実,水谷選手はバックへの返球にフォアハンドで回り込むことなく,バックハンドで攻撃させられ,カウンターの餌食になっていた。バックハンドが弱点と言われてきた水谷選手だが,近年では国内の選手やヨーロッパのトップ選手が相手ならバックハンドで試合の主導権を取れるようになってきた。たまには決定打も打てる,しかし,水谷選手のそんなバックハンドが許繒選手には全く通じなかった。
今の中国の選手は,対戦相手の些細な弱点を徹底的についてくる。許繒が今回選択した戦術に,どう対応すべきなのか。あくまでバックハンドで対応するのか,リスクをとってフォアハンドで回り込むのか(そうすれば,許繒のようなフットワークを身につける必要があるだろう),水谷選手の対応が楽しみだ。
ティーンエイジャーの頃から,孤高の日本のエースとして活躍してきた水谷選手にとって,今大会の銀メダルという成績は,たとえドイツがベストメンバーとはほど遠かったとはいえ,やはり感慨深いものがあるに違いない。国内ではライバルなしの状態で,少しずつ確実に成長を遂げることがどれだけ大変なことか,松平や丹羽両選手の体たらくを見れば(ごめんなさい!),想像に難くない。彼がいなければ,今の男子卓球の躍進はなかった。ありがとう水谷選手,頑張れ水谷選手!

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