科研費取ってる奴は盗人と思え!

今日の午後,夏休みに科研費で海外出張していたのであれやこれや書類を勤務先に提出したら...
「宿泊証明書がありません!」との指摘。

科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック

科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック

そもそも「宿泊証明書」という言葉を初めて耳にしたので,それって何って質問したら...
どうもホテルなどの宿泊施設に泊まった時に,本当に泊まったことを宿泊施設の印かサインをもらって証明するものらしくて,職場のイントラネットにアップロードしてあるので,いつでもダウンロードできるらしい。事務職員が今年度から代わったのだが,「昨年度までこの窓口を担当していたあなたの前任者からは一度もそんな書類の提出を求められたことはない」と苦し紛れの返事をしたら,「じゃあ結構です」とのこと。
なぜあなたは論文が書けないのか?

なぜあなたは論文が書けないのか?

どうも,ホテルの宿泊代を先に支払って,領収書をもらって,後で解約・返金してもらい,出張先では親族や知人や友人のところに泊まって,浮いたお金をくすねるのを阻止するための措置らしい。職場の予算でこのような書類の提出を求められたことはないので,いわば科研費を獲得している研究者狙い撃ちの管理方法らしい。しかし,科研費で何度も出張して,これまでそんな書類の提出は求められたことがないこともあって,なんとも腑に落ちない。
正直言って,怒りと悲しみがこみ上げてきた。ノーベル賞で秋口だけは瞬間的に日本は科学大国を気取りはするが,実際のところ,日本の行政が大学人や研究者をどのように見ているのかがよくわかる。
しかし,人文科学や社会科学系では急に予約しておいたホテル以外のところに泊まるということは,しょっちゅうではないにしろ,比較的よく起こりうることではないだろうか。私の経験だと,住宅事情が日本とは全然比べものにならない,フランス(たとえパリでも),遅くなったから泊めてもらう/泊めてあげるというのはかなり一般的なことだと思う。というか,こう言う経験が一度もないまともな研究者って本当に世の中にいるのだろうか...!?
科研費 採択される3要素: アイデア・業績・見栄え

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例えば,どこかの集落なんかに調査に行って,土地の人に歓待してもらって,誰かのお宅に泊めてもらうとか... ある先生の家に夕食に招かれて,遅くなったのでお宅に泊めてもらうとか... バブル期には偉い先生なんかだと懇親会で若い編集者・イベント屋さんや大学院生が... なんてことも...(最後の例は適当でないかも...)
科研費採択に向けた効果的なアプローチ

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そもそも,海外の宿泊施設でこんな書類をホテルのレセプションに書かせる国って,北朝鮮と日本以外にあるのだろうか?
海外視察という名で夏休みに物見遊山に出かける地方の議員さんや国会議員にはおとがめなしで,地道に世の中に役には経っても,お金にはならないことを研究している研究者に対しては,最初から公金横領予備軍とみなす... この国が潰れるのは自分の退職後だと思いたかったが,こりゃどうも思ったより早くなりそうな予感。ノーベル賞受賞者がいくら訴えても,効果がないので,私がどう泣こうが叫ぼうがどうにもならないとわかってはいても,もう少し研究者を盗人予備軍とみなさい程度の敬意にさえ,私って値しないのでしょうか?
やっぱりこの国(そしてもしかすると... お世話になっているのであまり考えたくはないが... 私の職場も)は腐っていると改めて納得した次第。