トランプとアンケートとアメリカの真心
7月のイギリスの離脱といい,この度のアメリカ大統領選挙の結果といい,つくづく思い知らされたことは,「民主主義って恐ろしい」ということだ。
- 作者: ドナルド・J.トランプ,トニーシュウォーツ,Donald J. Trump,Tony Schwartz,相原真理子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/02/06
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けれども,立て続けに国の将来を左右するような投票の直前に行われたアンケートが外れたのを見ると,これは文化の問題ではなく,アンケートという調査方法そのものに問題があるのではないかという気がしてくる。
アンケートの最大の目的はサイレント・マジョリティーの声を聞くことだと思う。それはつまりあなたの声を聞くことだ。つまりアンケートは世論の動向を知る手続きの一貫として,あなたの声を聞こうとする,同時にあなたとは誰なのか,何なのかを知ろうとする。あなたは白人か,黒人か。あなたはいつからこの社会(今回だとアメリカ)の成員なのか。あなたの学歴は何か。仕事は何か。結婚しているか,離婚したのか。子供はいるか。定職についているか。それとも派遣かパートか,いつから失業しているのか。年収はいくらか。そして今回の大統領選挙では誰に投票するつもり(あるいはしたか)か。
ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢 (文春新書)
- 作者: 佐藤伸行
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要するに,アンケートはとはそもそも勝ち馬に乗っていないものにとっては,面倒なものなのだ。その中で敢えてトランプを支持すると答えた人間がヒラリー候補の同数近くいたことに,アンケートを分析する側は注意すべきだったのかもしれない。
ヒラリー・クリントン ―その政策・信条・人脈― (新潮新書)
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こうした見方は,裏と表を使い分ける日本人的な観点かもしれない。しかしアメリカやヨーロッパ諸国のように脛に傷だけれの国,つまり過去の負の遺産のせいで,ポリティカリー・コレクトネスにがんじがらめに縛られた国に暮らしていると,日本以上にデリケートに裏と表を使い分ける必要があるのではないだろうか?
- 作者: 土居健郎
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