なぜ正月番組は見ていてつらいのか?

毎年書いているような気がしているが,大晦日,正月は苦手だ。
親戚の居間に閉じ込められて,面白くもないテレビに付き合わされたり,何度も聞いている思い出話に相槌を打たなければならない。

紅白歌合戦と日本人 (筑摩選書)

紅白歌合戦と日本人 (筑摩選書)

特にテレビは辛い。とても人口の絶対的多数が18まで学校に通い,半分近くが大学に進学している国民を対象にしているとは思えない。
歪んだ鏡をつきつられて,私たち日本人がどれほどばかで醜いかを無理やり認めされれているみたいだ。
今年は芸能人の格付け番組を見せられた。三田佳子高橋英樹といった大女優,大俳優がそんじょそこらの芸人さんにばかにされているのを見せつけられると,日本の映画の歴史がバカにされているみたいで本当に辛い。
私の心のどこかに,カトリーヌ・ドヌーヴやファブリス・ルッキーニにように年をとっても尊敬され,なおかつ彼らの経験と才能にふさわしい仕事がある国のことがあるせいだろうか?日本のテレビは才能や経験ときちんと接する術を知らない。その点はメディアとしては致命的な欠点だと思う。
どうしてあれほどの大女優,名俳優がこのような番組に出ているのだろうか?彼らは出演していて楽しいのだろうか?
怪物番組 紅白歌合戦の真実

怪物番組 紅白歌合戦の真実

日本では年を取った俳優,女優は馬鹿にされることによってしか,生き残ることができないのだろうか?もしそうだとすれば,本当に日本は不幸な国だ。つまりこの国には,キャリアに対する敬意がまったくないことになるのだから。
和田アキ子が出ていたが,彼女も歌手として地道に活動していれば,きっと違ったキャリアを送ることができたはずなのに。
もちろんこれはメディアだけの問題ではないだろう。仕事をきちんと選べない事務所が一番の問題なのかもしれない。
彼らが愚かなのか,事務所に見識がないのかわからないが,それなりの才能があって,それなりのキャリアがある芸能人はもう少し仕事を選んではどうだろう?
テレビはなぜ、つまらなくなったのか

テレビはなぜ、つまらなくなったのか