パトリス・シェローの『フェードル』
大竹しのぶ主演で『フェードル』が上演されるれしい(もう公演は始まっているのだろうか?)。
この公演とはあまり関係ないのだが,2003年に今は亡きパトリス・シェローが演出し,ドミニク・ブラン嬢がフェードルを演じる芝居を見た。独仏共同テレビ局ARTEで放送されたものらしい。
- 作者: アラン・リピエッツ,千石玲子
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 単行本
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フランス語が全く古びて聞こえない。例えば,サラベルナールが演じる『フェードル』は私の耳には,とても古臭く聴こえてしまう。演劇というよりは唄いのように聞こえてしまう。だが,シェローの手にかかると,フェードルも,イッポリットもアリシーも,みんな現代人として,つまり普遍的な存在として蘇る。
- 作者: エウリピデス,松平千秋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/03/01
- メディア: 文庫
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二人の恋愛感情が面倒臭いとはいえ可愛い部類に入るとすると,フェードルが懐いている恋愛感情は,次元が使う。自分ではどうすることもできない,力に取り憑かれてしまって,それから逃れることができない。逃れる術があるとすれば,自ら命を絶つしかない。その力とは,義理の息子,イッポリットへの断ち切れない思いだ。この思いに食いつかれて,フェードルはのたうちまわる。恋愛を自分の置かれた状況改善に使おうとするアリシーとの対比は鮮明だ。注文をつけるとするとエノーヌだろうか。シェローの演出では,ひたすらフェードルを溺愛し,彼女のためならどんな犠牲も厭わない存在として設定されている。例えばもう少し悪魔的でも良かったのでは。例えばエノーヌをブラン嬢が演じて,もっと若い女優がフェードルを演じても面白いのでは... あるいはテゼーを耄碌した老人に設定したり... 西洋の演劇は,観客が自由に演出できるのが面白い!
- 作者: セネカ,小川正広,大西英文,高橋宏幸,小林標
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 1997/07/01
- メディア: 単行本
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