映画三昧... かしら

17時までは,和やかに仕事。優秀な方がそろっているのでラクチン。今日の仕事のおかげで,エクセルの使い方が少しだけ広がりました。
17時以降は,渋谷で<神代辰巳レトロスペクテォブ>に馳せ参じる...
今日見たのは...
『濡れた唇』(日活,1972)と『恋人たちは濡れた』(日活,1973)。タイトルと制作会社からわかるように日活ロマンポルノでございます。
昔を懐かしみに来ていらっしゃるのでしょうか,年配の男性客が多かった。それに加えて,若い(10代後半〜20代)女性客が多かったのも印象的でした。
昨日の『櫛の火』もそうでしたが,神代辰巳の作品ではなぜか登場人物が走る場面が多い... 分析の価値のあるテーマだと思うのですが... 如何でしょう?
ロマンポルノ... 真面目に見たのは初めて... 観る側にとっても出演する側にとっても,アダルトビデオが劇的に普及したせいで,今日日,日活ロマンポルノをみてこれをポルノだと思う人はかなり少ないのでは... 私も見ながら「これがポルノとして受容され,ポルノとしてお金を稼げた時代があったのか〜〜」と思いしばし感慨にふけってしまいました。
下着姿の女優さんと男優さんがいきなりベッドで...というアダルトビデオに慣れている私たちとすると,わずかに乳房が見える絡みを数シーン撮るために,きちんとストーリーがあって,脚本があること自体が特筆に値すると思う。つまり日活ポルノの時代,たかだか2〜30年前まで,公共空間ではセックスはきちんと物語の中に嵌め込まれていたのだ。つまりセックスとはたんに<気持ちいい行為>としてではなく,限られた人生を生きる人間にとって何らかの<意味>がある行為として提示されていた。そう思うと「ロマンポルノって偉い(たとえ退屈な時間があるにせよ)!」と叫びたくなります。
最後に(ついでに)『希望ヶ丘夫婦戦争』(高橋巌監督,2009)。EDに悩む夫(宮川一朗太)と,身体を持て余しなんとかEDから夫をたち直らせようとする妻(さとう珠緒)。
ある日突然,これまで二人のあいだで普通に自然に繰り返していたセックスができなくなる。セックスって当事者二人が抱く思惑・夢のを背景に営まれる,とても<意味深い>行為であることを鮮明に示している点で,この映画はアダルトビデオの対局にある映画といえると思います。
中々面白いテーマを扱っているし,さとう珠緒も奇麗なのだけれど,もう少しカメラワーク(センスの悪いアップが多すぎる!!)とか音の処理(さとう珠緒が車の安全ベルトを付けている最中にどうして,エンジンの発進音を流すのか?),そして人を小馬鹿にしたシナリオ(ユーモアのセンスのないコミックは見ていて辛いです)等,もう一工夫してほしかった!