TPP・マスコミ・農業

APEC絡みの警備で警官(余計なお世話だが,APECのような国際会議がない時はどこでどのようなお仕事をされているのやら?)がうじょうじょの東京から一週間ぶりに,南国に戻ってみると,こちらでも警官がウジョウジョ?
どうして?
と思っていたら,どうもTPPに反対する農業関係者の反対デモらしい。
もちろん,デモ自体には大賛成だ。自分の考えを一般の人に伝えるために,日本ではもっと,どんどんデモをするべきだと思う。日頃は車に占領されている車道を,自分の主義主張のために封鎖できる,権利=愉しみはもっともっと行使されるべきだ。
でも... 一方で,そろそろ自立したら?と農業関係者にいいたい気もする。そろそろ海外と勝負しようという気概を持った農業生産者が出てきてもいいんでないの?

そもそも,私には農業関係者の主張と実際の行動の齟齬をどう理解すべきなのかが分からない。
彼らは声高に叫ぶ。TPPが締結されれば農業関税が下がる。そうすると小規模,つまりお耕作面積の小さい小規模農家が多数を占める国内の農業が壊滅的な打撃を受けて,食料自給率はさらに下がるだろう...と。
あるいは,そのために,田畑があれ,生態系にも大きな打撃をもたらすと。
だが... 今日,日本の一般労働者やサラリーマンが,まさしく海外の企業,労働者と同じリングで戦っている,今この瞬間に農業関係者は何をしているのだろうか?
非常に多くの田畑を休耕地にしたままででいるではないか?
何故か?耕して米を作ったり,麦を作るよりは,休耕田として放置して補助金をもらった方がいいからだ。休耕田を活用しなければ自給率が下がり,用水路や周辺施設が荒廃してしまうにも関わらずである。所詮,農業関係者は,補助金のためなら,田畑が荒れることによって生態系が狂ってしまおうが,自給率がどうなろうと構わない人々が圧倒的多数を占めるのではないだろうか。
少なくとも,日本の自動車,鉄鋼,半導体メーカーは,日本には資源がないのだから関税で自分たちの経済活動を守れとは主張しない。
日本の農業関係者は自分たちが都合の悪い時だけ生態系とか,職業自給率を持ち出すのはフェアではないだろう。

日本とは本当に面白い国だ。
極めて盲目的に欧米のものをありたがる一方で,閉鎖的な国民性を持っている。そのくせに,海外に開かれたセクター比較的強くて,海外との競争から守られているセクターは本当だめだ。
自動車,電子,電器,造船,鉄鋼なんかはまだ強い。海外と競争しているから。
ところが,医療,医薬,司法は悲惨な状況だ。
日本の医師の平均的レベルは西ヨーロッパのそれに比べると低い。そもそも国家試験が業界向けでユルユルだ。そのくせ,医師の所得だけは高い。看護士は海外から導入したらしいが,海外から医師を入れればどんなことになるだろう。ヨーロッパの医師と果たしてどれだけの医師が勝負できるか...
さらに官僚,とりわけマスコミ(新聞,テレビ)ときたら... 取材にかけている人手,経費と,それによって発信される情報,論説の比からすると世界でも最低レベルだろう。つまり人とお金をかけている割にニュース,記事のレベルが低すぎる(というか志が低すぎる)。昨年の村木厚子氏(厚生労働省)に関する報道,今日日の尖閣諸島にの中国籍漁船の映像やそれをYoutubeで流した保安官に関する報道がそのいい例だ。
庶民を煽るだけが彼らの仕事ではないだろう,新聞・ニュースははアジビラ,アジ演説とは違う。読者,視聴者を煽るだけ煽っておいて,反省をまったくしないというのだどういうこと(戦前もこんな感じで国民を煽っていたのだろうか?)?
私には,農業だけが,上の例から外れる,例外的セクターにはどうしても思えないのだ。