今年の高校野球...

小学生の頃,夏休みは友だちと遊ぶ以外にすることがなかった。
友だちが見つからないときは本屋でマンガを立ち読みするか,高校野球をテレビで見るか... マンガと高校野球のおかげで少年時代は暑くて退屈な夏休みを何とかやり過ごすことができたのだった。
ところが自分が高校野球の選手の年齢に近づくにつれて,高校野球をめっきり見なくなった。
高校野球の報道の仕方に強い抵抗感を抱くようになってしまったからだ。高校球児のドラマが,金太郎飴のように見えてくるようになってしまったのだ。
毎年毎年同じネタで,つまりは安易な感動,郷土愛,愛校心,田舎賛美(のフリをした都市生活者の根強い地方への優等意識)をテレビ,新聞,ラジオを通じて垂れ流すことで金儲けをする連中の態度が許せなくなってしまった。
ところが,もう少しで老人という年齢になってしまうと,再び高校野球への視線が代変わってきたのだ。たとえ見る側にとっては,相も変わらパターンで適当に報道される高校野球の安易なドラマも,当事者つまり,高校生,その友人,家族,友だちにとっては,一生でそう何度も味わうことのできない濃密な感情を経験する機会であることが,分かるようになってきたからだろう。
... そんなことを思いながら実家で墓参りの準備をしながら,習志野高校と金沢高校の実況を見るともなく見た。