紅白歌合戦,あるいは平凡な大晦日

数年前は,翻訳の〆切に追われて大晦日どころではない... ということもあったのだが,最近はそういう景気のいい話もなく,今年は掃除と食事の合間にボクシングや紅白歌合戦という,とてもオーディナリーな大晦日でございました。しかし,井岡選手... 第1ラウンドで,相手の懐にすっと忍び込んでボディーを打つ時の,あのスピード,鳥肌がが立ちました。
紅白歌合戦...
1)数年前にも感じたことですが,昔の紅白の主役は故郷であり,田舎,故郷に帰る人々であり,年の瀬にもかかわらず働いている人々だったり... つまりまあ日本であり,日本人だったのですが,今はよくも悪くも歌番組になってしまった...
2)<日本>と並んで,かつての紅白の主役は<来る年への希望・期待>だったと思うのだが,そういうものがきれいサッパリ消えうせていた気がしました。昔はもう少し明るい番組だった気がする... まあ司会の堀北真希のしゃべり方が暗いせいや,特別に見せ場のない紅白だったせいもあるのだろうけれど,よくいえば淡々とした,悪くいえばとても暗い番組に見えました。これも世相を反映をしてのことでしょうか。
3)私がオジサンのせいもあるのでしょうが,斉藤和義矢沢永吉美輪明宏はかっこ良かった。こうした人たちが大晦日AKB48やジャニーズ系のアイドルと同じステージに立つ(というか立たせるなんて),しかもたった一曲のために立つなんて,私のような音楽業界のことがまったく分からないド素人から見ると,彼らにとってこれほど屈辱的なことはないと思うのだけれど...
とはいえ,彼らの歌いっぷりを見ていると,やっぱり本気が感じられるわけで,やっぱりちょっと胸がキュンとなりました。特に矢沢永吉の歌いっぷりはやっぱりかっこ良かった(私の場合,どうしても彼をジョニー・アリデーと比べてしまうせいもあるのだけれど)。日本の音楽業界には,まだまだ音楽に情熱を燃やしているミュージシャンがいるってことを,AKB 48たちと同じステージに立つことで,伝えたかったのかな〜〜そんな感じでウルウルしながら見てました。日本にはまだまだ凄い大人たちがいる!と改めて思った次第です。