ラジオで見るクロード・ルルーシュ

自宅から実家まで,延々と込み合う道すがら,『裸の声で(À voix nue)』という番組でジャック・ニシェやクロード・ルルーシュのインタビューを聞く。
ジャック・ニシェの話も面白かったのだが,ルルーシュの方は幼少期やデビュー直後の苦労話,その後の異性関係の話もあって,運転しながらでも楽しく聞いた。
ルルーシュを小馬鹿にしたり,軽蔑する人は私の周りにも少なくない。ただ,インタビューから浮かんでくる彼のイメージは,大好きな映画のためにひたすら生きてきた映画小僧のようで,悪くない。
「小さいころは,私と映画とを隔てる全てを憎んだ。」この言葉がすべてを語っている。
バカロレア受験前日の深夜のエピソードも痛快だ。ルルーシュは学校が嫌いだった。しかも学校の成績が悪いことで,彼が愛し,尊敬していた父親が悲しんだり,気分を悪くするのが,とりわけつらかったそうだ。そんな彼もバカロレア受験までたどり着いた(当時のバカロレアのレベルからすると,それなりの成績を収めていないと,このレベルには到達できないはずだが... 詮索はよそう)。受験前日の深夜両親が,「クロクロ(クロードの愛称)がもしもバカロレアに失敗したら」と心配している様子をルルーシュ
は耳にする。そして父が「もしも,失敗したら,カメラ(8ミリだと思う)を買い与えて,彼の好きな道に進ませてやろう」と母に話しかけるのを聞く。翌日,ルルーシュは半ば意図的にバカロレアに失敗して,試験の出来が散々だったことを父に報告する。父は子供にカメラを買い与える。そして,やっとルルーシュは学校から解放され,映画への道を突き進むことになる。結局子供にチャンスを与えてやる父親の行動は流石だ。人間好きなことでしか頑張れないのは分かっていても,その原則を自分の子供に当てはめることができる親がどれだけいることか...
また,「カップルが長続きするには,たがいに性的な自由を認めることだ」とあっけらかんと語っていた。彼自身身が身銭を切ってたどり着いた結論らしい。私に真似はできそうもないけれど...