フランケンシュタインの恐ろしさ

フランケンシュタイン』(1931年)を見た。
博士の実験室は当時のセットとしては非常に凝ったものだったのでないだろうか。
恐怖映画の先鞭をつけた作品として有名だが,製作から80年あまりたったこの映画を初めて見る観客にとって一番怖いのは,人間の力で人間を作り出そうとする博士の狂気(科学技術が進歩したせいか,私たちが狂ったのか... そこに狂気ではなく,進歩やビジネスチャンスを見出すのが一般的になってしまった)でも,フランケンシュタインの乱暴ぶりでもない。
自分たちと<違う>怪物を,追い回し,取り囲み,火あぶりにしてしまう群集だろう。今日誰もが,群集の恐ろしさを噛み締めながら生きている。そして,誰もが群集の狂気とは無縁ではないことを知っている。