パリの松平健太選手

パリで開催された世界選手権について...
この1週間,Jスポーツ(前回のエントリーでは文句を言いましたが,感謝してます!)とITTFのインターネットテレビと,ライヴスコアリングに釘付け。
特に土,日に開催された,丹羽ー馬龍(中国)戦,松平ーサムソノフ(ベラルーシ)戦,松平ー許繒(キョキン,中国)戦は,年甲斐もなく声を出して応援してしまった。パリまで届く訳ないのに!

で,今日は松平選手について。
下り坂とはいえ,世界ランク8位の馬琳選手を文字通り圧倒したので,サムソノフ戦は楽に勝てるかと思ったのだけれど... サムソノフ選手が松平選手をギリギリのところまで追いつめた試合を見て,改めて何故この選手が10年以上も世界のトップクラスで活躍し,中国選手に善戦しているのかよく分かった気がする。
この試合も最終の第7セットの中盤でも,試合の流れは,序盤のビハインドをひっくり返したサムソノフ選手に完全に傾いていた。ところが!サムソノフ選手が7−6でリードしていた時だったと思う。彼は痛恨のサーヴィス・ミスをしでかしてしまう。これがなかったら,恐らくサムソノフ選手が勝っていたに違いない。

不思議の国ベラルーシ―ナショナリズムから遠く離れて

不思議の国ベラルーシ―ナショナリズムから遠く離れて

馬琳選手に比べて,サムソノフ選手のレシーブは安全志向だ,そして柔らかい。試合の序盤では松平選手のしゃがみ込みサーブが通じていたのものの,馬琳戦ほど効果がなかった。試合の後半,しゃがみ込みサーブを多用しなかったのは松平選手の判断だろうか,それともベンチの指示なのだろうか?いずれにしろ賢明な判断だったと思う。
そして,サムソノフ選手は何より攻守のバランスがいい!これこそが,彼がピークを過ぎても中国人選手を脅かせる要因だろう。そもそも体が大きくいので,松平選手のブロックやカウンターに振り回されて,態勢を大きく崩されるとも少ない。
やはり,この手のタイプの選手と対戦してコンスタントに勝つには,早く攻めることも大事だろうか,とにかく中陣でも打ち合っても,負けないことだ。
戦術面でもサムソノフ選手のプレーは面白かった。勝負所でロングサービスを使っていたのだ。許繒選手も,松平選手との試合では,随所でロングサービスを使っていた。これも今後,日本人選手が学ぶべきところだろう。
ベラルーシの林檎

ベラルーシの林檎

一方,松平選手の方は,馬琳戦では,ブロックだけでなく,カウンターもバシバシ決まっていたけれど,サムソノフ戦,許訢戦と,戦いを重ねるごとにカウンターが少なくなった気がする。松平選手がブロックに自信を持っていたのか,相手のコース取りがよかったのか,ボールの威力に押されたのか...
対戦相手からすると,テクニシャンでトリッキーで何をしてくるのか分からないのが,松平選手の怖さだと思うのだが... 技術に見合った戦術のヴァリエーションを身につけるのもこれからの課題かも。
とはいえ,松平,丹羽選手の活躍で<世界>がぐっと近くに見えて来たパリの一週間でした!
ありがとう,そして頑張れ松平選手!
ベラルーシ: 境界領域の歴史学

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