リオ雑感:卓球日本女子チームの選考方法について

卓球ファンにとってはオリンピックが終わったので,簡単な感想を。
今回は日本の女子チームについて。後出しジャンケンのような話になります。ご海容くださいませ。
日本女子のロンドンは銀だった。だからリオに対する日本メディアの期待は高かった,というのは正確ではなくてメディアが期待を煽った。ロンドンの2枚看板がそのままで,リオでは女子卓球界の世界的モンスター(もちろん敬意と賞賛の念を込めての表現です)伊藤美誠選手が加わるのだから。メディアが煽りたくなるのも仕方ない。
しかし,冷静に考えると,北朝鮮とドイツの壁は高いだろうというのが戦前の予想だったので,今回の結果は日本チームの実力からすると,十分以上だったと思います。そもそもメダルがどんな色だろうが,メダルがあろうがなかろうが,彼女たちが必死に頑張ったこと,素晴らしい試合をしてくれたことに変わりはない。
しかし,選手の選考方法と方針について協会はきちんと総括をするべきだと思う。
まず,選考方法と時期について。
日本は代表を去年の9月(!)選んでしまった。これは,例えば選考に最後の最後まで時間をかけた中国とは対照的だ。これは日本には日本の事情があり,中国には中国の事情があるので当たり前のことではあるのだけれど... 問題は日本の事情に,果たして昨年の9月に選手を決めてしまっことが適っていたのかという問題だ。日本の特殊事情は,トップ選手の個人事業化が進んでいるということと,若い伸び盛りの選手がとても多いということだ。前者のことはここでは触れない。伸び盛りの選手が多いということは,数ヶ月で実力が大きく伸びて,選手間の実力関係が逆転しうるということだ。例えば,リオ代表選手の選考が決定してから,平野美宇選手,早田ひな選手,そして佐藤瞳選手は目覚ましい成績を残している。
平野選手は全日本で準優勝し,ポーランド・オープンで優勝している。今年に入っては伊藤選手には負けていないはずだ。早田ひな選手はリオ直近の日本オープン,韓国オープンでベスト8だった。準々決勝で敗れた相手はどちらの大会もオリンピックで優勝した丁寧選手だった。ポーランド・オープンでは福原選手を4-1で下している。佐藤選手は福原,伊藤,平野選手に勝ってザグレブ・オープンで優勝している。
もう一つは選考の基準だ。オリンピックではダブルスが大変に重要だ。ダブルスが勝敗の決定を左右するといっても過言ではない。日本女子の最強のダブルスは伊藤・平野のペアだろう。団体戦は5点取る必要ない,3点取ればいいのだ。それを考えると,メンバー3人のうち,2人はシングルスの実績で,団体戦要員の一人は確実にダブルスでポイントが計算できる人を選んでも良かったのではないだろうか?そうでないならば,早めに人選を済ませたてしまったことを,拙速と言われないために,ダブルスを強化するべきだった。しかし協会はそうしなかった(あるいは選手にそうさせることができなかった)。
ドイツ戦の敗因はダブルスだっただけに,残念だ。