ライシテ発明者との出会い

偶然,出張先で仕事をしていると,こんなものに出会った。

初等教育局長,ビュイッソン先生へ,敬意を込めて,L・マクルー」
ビュイッソン(1841〜1932年)は1927年にノーベル賞を受賞したことでも知られるが,フランスではソルボンヌの教授,とりわけ初等教育局長として初等教育やライシテの法的整備に絶大な貢献としてことで有名だ。日本だと多くの大学の図書館には,彼とその弟子が編纂・執筆した教育辞典が眠っているのでは。
マクルーはルイ・ル・グランの修辞学の先生(王様をギロチンにかけておきながら,なぜかパリの有名高校は王様の名前を冠したものが多い気がする,逆にジャン・ゼイ,アラゴンサン=テグジュペリのように人民戦線,共産党レジスタスに関わった有名人の名前をつけている中学や高校は郊外の荒れている学校が多い気がする。現実と理念のこのような乖離をあまり気にしないのもフランスらしいと言えるかも)。司書の人はマクルーの名前だけでピンときていた(私はピンとこなかったけれど)。
どうもこの本はビュイッソンの死後,ENSリヨン校教育図書館のコレクションの土台になったビュイッソン文庫に収められていたものらしい。
ビュイッソン先生も,死後蔵書がこんな風に,日本人にうやうやしく閲覧されるとは思っていなかっただろう。

フランスにおける脱宗教性(ライシテ)の歴史 (文庫クセジュ)

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世界のなかのライシテ; 宗教と政治の関係史 (文庫クセジュ)

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ライシテ、道徳、宗教学―もうひとつの19世紀フランス宗教史

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