歩行者から見たフランス

日本人がフランスの街を歩いていて,最初に驚かされるのは犬のフンだろう。
何せ,「犬を飼えない(ほど貧しい)輩が子供を作る」(コリューシュ)と言われるお国だ。しかも基本的に「わがままはお互い様」という暗黙の了解が,人々の間にある。犬のフンはそのまま放っておいて後は自然の力か,お役所の掃除夫に任せにしておくことになる。必然的に街は犬の糞尿で溢れることになる。
先日,リヨンで仕事に出かける道すがら,老婦人が犬のフンをテイッシュでつかんでいる光景に出くわした。持参のビニール袋か何かに包むのかと思って見ていたら... 近くに設置してあった市のプラスチック製のゴミ箱に投げれいてしまった... ! 私が予期していた行動とはあまりにもかけ離れていた。私の乏しい想像力の範疇を超えていてコメントのしようがない。
ところが,車との関係で見ると,また違った光景が立ち現れる。車同士のマナーはとても悪い気がするが,対歩行者になると話が違ってくる。歩道や交差点ではほぼ歩行者を優先してくれる。日本だと,歩行者を見かけた車が止まると,後ろからクラクションを鳴らしたり,パッシングするという信じられないおバカちゃんドライバーが少なくないが,そうした光景はまだ見たことがない。キスや,スマホに夢中で発車が遅れた場合はもちろんこの限りではないけれど...
歩行者が横断歩道の手前で待ったいるのに,横断歩道に飛び込んだ場合は,ドライバーや助手席に座っている人が申し訳なさそうなジェスチャーをすることも少なくない。特に地方都市の市街地では日本に比べて,信号が少ないのも,歩行者優先が徹底しているからだろう。
もちろんいつもでもそうというわけではない。平日では軽トラックや若い女性ドライバー,週末では夜郊外から繰り出してくる若者の車は,その限りではないことが多い気がする。また,最近特に気をつけなくてはいけないのは自転車だ。これ以上自転車が普及してくると,何らかの規制が必要になってくるだろう。