コンビニの味:アメリカン・ドッグ

最近コンビニでアメリカン・ドッグを発見した。以来,食べることが多くなった。材料も定かでない魚肉ソーセージを小麦粉でまぶして油で揚げただけのものだ。美味しいわけでもないし,もちろん健康にいいはずもないのだが,ちょっとしたマイブームになっている。

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体に良くもなければ,美味しくもないものをなぜわざわざ買ってしまうのか。と問われれば,懐かしさからと答えよう。
昔の田舎町には,アメリカン・ドッグ屋さんというものがあった!中学校の時,ある日,部活からの帰り道,民家の一部が改装されたアメリカン・ドッグ屋ができているのを発見した。そこで生まれた初めてアメリカン・ドッグというものを発見した。以来,それを食べるのが,下校時の細やかな楽しみになった。もちろん,限られた小遣いで毎日食べることはできなかったけれど... へとへとに疲れている上に,重たいカバンを抱えて長い道のりをとぼとぼと徒歩で帰る身にとって,そのアメリカン・ドッグ屋さんはまさしくオアシスだった。
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また,そのような小さな無駄遣いを知った母は,休みになると,昼食やおやつにスーパーからアメリカン・ドッグを買ってくるようになった。もちろん揚げたてではないので,味はさらに落ちるのだが,子供の好物と思って買ってきてくれる母の心遣いが嬉しかった。
それから数十年後,少年の慰めだったアメリカン・ドッグは,人生に疲れた老人予備軍の慰めになっている。
コンビニ人間

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