紙媒体の力

次期大統領の大本命と思われていた中道・右派の大統領候補フィヨン氏の妻，うっかりペネロペの偽装雇用問題でフランス大統領選挙の展望が混沌としてきたことはすでにお伝えした通りだ。

ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか (光文社新書)

この問題を暴露した『カナール・アンシェネ』の発売日の朝には，本社の前に人だかりができていたそうだ。今日のメディアでは大変珍しいことだが，この週刊紙にはインターネットサイトを持っていない。なので，先週のフィヨン氏の妻の偽装雇用報道を受け，今週号の記事の正確な内容を一刻も早く知りたり市民はもちろん，多くの政党，政治家の関係者が本社の前に群がったらしい。

グーテンベルクの銀河系―活字人間の形成

これは，人々が読みたいと思える記事を準備するだけの取材力があれば，紙媒体のメディアでも十分にネットに対抗できることを物語っている。「メディアはメッセージである」（©マクルーハン）というフレーズが流行ったこともあったことがある。しかし，メディアの種類，速報性は高まっても，注目に値するを誰でも発することができるというわけではないようだ。
ニュースで大事なのは取材力であることに変わりはない。

メディア論―人間の拡張の諸相

たとえ「メディアはメッセージである」としても，メッセージの内容の重要性がなくなったわけではないようだ。誰でもメッセージを発することができる時代だからこそ，その内容が一層問われているということなのだろうか？

メディアはマッサージである: 影響の目録 (河出文庫)